FIREしたのに賃貸生活!?
私は現在賃貸物件(マンション)で暮らしている。賃貸と言ってもいわゆる「分譲賃貸マンション」で、本来分譲マンションとして購入された物件が、オーナーの事情により賃貸物件として貸し出されているものだから、4LDKで約100㎡、床暖房やセキュリティも整っていて全く不満はない。現在の家賃は月額約10万円(年間120万円)ほど。資産の一部を取り崩して家を買うことも出来るが、あえて賃貸を選択している。「持ち家vs賃貸」はいつの時代も多くの人の興味を集めるテーマだが、FIREをした私がなぜ今も家を買わないのかをお話ししたい。
持ち家も不動産投資
私は持ち家も投資の一部だと思っている。「夢のマイホーム」や「一国一城の主人」と言った幻想はない。最近、私が住んでいるマンションで、ほぼ同じ間取りの部屋が3000万円で売却されたと聞いた。もし私がその物件を購入していたとしたら、年間120万円の家賃を払わずに済むことになる。これは帰属家賃と言って、自分自身に家賃を払っているのと同じだ。ということは、私は3000万円の投資で120万円の利益、すなわち年間4%のリターンを得ているのと同じことになる(日本の区分マンションの平均利回りは3〜5%程度)。
それなのに何故持ち家を購入しないかと言うと、同じ3000万円を元手に4%以上のリターンを出せると考えているからだ。株でもFXでも何でも良いが、もし4%以上で回せるなら、持ち家にせず家賃を払ってでもその3000万円を他の資産に投資しした方が良いことになる。例えば5%で回せるなら150万円のリターンで家賃を払っても30万円が超過利益となる。
※以上の例では話を簡便化するため税金などは考慮していません。
私がマイホームを買わず賃貸で生活する理由
4%以上で回すのは難しいと考える人もいるかもしれない。もちろん、株などの投資にリターンの保証はないが、4%以上で回す自信があるから私は持ち家を買わないのだ。投資経験がなく、低金利になれてしまった人は「そんなの無理」と思われるかもしれない。しかし、私の過去の運用実績は大体7%(10年で約2倍になる利回り)だし、上手く投資を行ってる人であればもっと高い人もいる。だから、持ち家以外に投資する方が経済合理的だと考えている。
もうひとつ理由がある、それは不動産が他の資産と比べて流動性が低いということ。もちろん人気がある地域の物件ならすぐ売れるだろうが、そうでない場合は売りたくても売れないということも覚悟しなくてはいけない。仮に売れるとしても不動産業者を通して契約したり、自分が次に住む場所を確保しておかないといけないのでとても面倒くさい。株ならそんな手間はかからないし、どうしても不動産に投資したいならREITという選択肢もある。私はデイトレなどはしないが、マーケットの動向を見ながら機動的に、ポートフォリオを組み替える手法でFIREを達成したので、その観点からも不動産は私には向かない。数千万円が不動産に固定されるのは、私にとっては大きな足枷なのだ。
FIREを目指すなら経済合理的に考えるクセをつける
不動産投資が悪いと言っている訳ではない。銀行員時代、不動産投資で成功した人もたくさん見てきている。だけど、FIREを目指すなら、「夢のマイホーム」、「一国一城の主人」という不動産会社の甘いセールストークに惑わされたり、みんな家を買っているからという理由だけでマイホームを買ってはいけない。マイホーム購入は不動産投資であるという純然たる事実を認識するべきだ。また通常は住宅ローンを組んで買うことが多いと思うが、そうするとレバレッジ投資をしているのと同じでさらにハイリスクな投資となる。額が額だけに、ポートフォリオのほとんどを不動産が占めてしまい、身動きが取れない状態にもなりかねない。そうしたリスクなどを十分認識し、自身のポートフォリオや経済合理性も考慮に入れて投資判断を行って欲しいと思う。