バフェット、S&P500売却・日本商社株買い増しは「人の行く 裏に道あり 花の山」?

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誰もが注目する投資の神様の気になる動向

投資をしている人なら誰でも知っているであろう投資の神様ウォーレン・バフェット。その最近の動向が話題になっている。ひとつ目は、2024年第4四半期に保有していたS&P500に連動するETFを、すべて売却していたこと。ふたつ目は、「株主への手紙」で日本の商社株への買い増しを示唆したことだ。

S&P500売却については今後訪れる米国株の暴落を察知してのものだとか、様々な憶測が流れているが、真相は誰にも分からない。だけど売却の一方、新たに個別銘柄も買っているようだし、日本の商社株買い増しも示唆しているのだから、決して投資に後ろ向きになった訳ではなさそうだ。

個人的にはバリュー投資家として知られる投資の神様なのだから、S&P500は割高、日本株は割安と判断した。その結果が、このふたつの行動につながったと素直に捉えれば良いのではないかと思う。

株価割安・割高を判断する指標 「PER」と「バフェット指数」

バフェットのような投資の神様が何を持って個別株の割安・割高を判断しているかは分からないが、我々一般の個人投資家がその判断に良く使うのがPERだ。ご存知の方も多いと思うが、

PER (株価収益率)=株価÷1株当たり純利益

で表される。例えば今、ある会社の株価が1000円で、1株当たり利益が50円ならPERは20倍という具合だ。1株当たり純利益は最終的に株主に帰属するものだから、あなたが1000円でこの株を買ったとしたら、毎年の利益で取り戻すのに20年かかることになる。もちろん、株価は日々変動するし、企業の1株当たり利益も決算毎に変わる。あくまでひとつの目安ということだ。

このPERが平均値より高くなるほど割高、低くなるほど割安と言われるが、じゃあ平均はどれくらいなのか?過去の実績を見ると、S&P500構成銘柄の平均PERはおおよそ20〜25倍程度、日経平均が14〜17倍程度なので、相対的に日本株のPERの方がずっと低い

もうひとつ。ある国の株価が経済規模と比較して割高、割安を示す指標としてバフェットが使っているというバフェット指数なるものがある。これは

バフェット指数=上場株式の時価総額÷名目GDP(国内総生産)

で表される。経済規模(GDP)は企業や個人が作り出す付加価値の総和だから、GDPをもとに世界各国の株価を比較するのは、ある意味分かりやすい。こちらは、現在米国がほぼ200%、日本が160%くらいで、やはり米国の方が高い。PERでも、バフェット指数で見ても米国より日本の方がずっと低く割安なのだ。(※もちろん、会社そのものに問題があってPERが低く抑えられているケースも多々あるから、それだけを見て割安でお買い得!とは言えない。他の指標や財務内容などを見る必要がある)

「人の行く 裏に道あり 花の山」

PER、バフェット指数ともに米国より日本の方が低いのには理由がある。例えば、両国企業の成長率の差や、国民のリスク選好度、自社株買いの規模の差などだ。でも今後、こうした差も少しずつ埋まって行くかもしれない。その引き金となったのが2022年から始まった東証の改革だ。

この東証の改革はそれまで内向きだった会社の姿勢を、株主に目を向けた経営に変えつつある。まだ道半ばだが、この動きがもっと加速すれば日本企業もROEを高めるために、生産性向上のための投資や、自社株買いを積極的に行うようになるだろう。こうした動きは当然株価上昇に繋がる。そうした動きもバフェットは見据えて割安と判断しているのかもしれない。

日本株は昨年最高値を更新した後、再び38000円台をウロウロするもどかしい展開となっているが、日本株式市場の改革が着実に進んでいるのは間違いない。私もそう思うから、日本株のウェイトを高くしている。NISAなどでは日本人はオルカンやS&Pばかり買っているが、投資の神様のこうした動きの背景にあるものを考えてみても良いかもしれない。相場の格言に「人の行く 裏に道あり 花の山」というものがあるが、やはり人と同じことをしていては大きなリターンは得られない。

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