金融庁、貸金庫で監督指針見直しーブラックボックスは消えゆく運命

三菱UFJ銀行での貸金庫事件については以前、「三菱UFJ銀行貸金庫事件は氷山の一角!?」を投稿したが、その後、みずほ銀行でも過去に同様の事案があったことが発覚した。やっぱり、という感じだったが、これら銀行の貸金庫に関わる不祥事を受けて、監督庁である金融庁も指針を見直すようだ。

内容としては、「店舗で保管してきた予備鍵の管理を厳格化するよう金融機関に求めるほか、貸金庫室に入退室する際の手続きやルールづくり、マネロン対策などを監督指針に盛り込む」ことや「教育研修の充実のほか、生体認証を含むデジタル技術の活用を促すことも検討している」らしい。

うーん・・個人的にはそれで本当に防げる?という感じだ。何より、貸金庫の根本的な問題が議論の対象になってないような気がする。それは貸金庫の中身自体がブラックボックスで、中に何が入っているかは、契約している本人しか分からないと言うことだ。だから、脱税やマネロンなど不正の温床にもなってきたと言われているし、それが事実だ。

だが、もし仮に制度が改正されて、ブラックボックス化を防ぐため、予め貸金庫に入れるものを登録することが義務化されたとしよう。当然、脱税やマネロンと言った不正利用はぐっと減るだろうし、透明性が担保されて銀行員による不祥事を防ぐ効果も期待できるだろう。一方で、普通に利用している人もプライバシーの観点から利用をやめるかも知れない。銀行にとっては痛し痒しだ。

私自身はこうした貸金庫の抱えるさまざまな諸問題は本気で解決するなら、保管物件の登録を義務付けてブラックボックス化を防ぐしかないと思っているけど、実現は困難だろう。一方で銀行の立場からすれば、さらにルールが厳格化されて、コストや手間が増えることを考えれば、やはり、貸金庫業務を縮小、廃止しようとする動きが出てくる可能性が高い考える。生体認証などは対策としてある程度有効だとは思うが、費用対効果を考えれば銀行は二の足を踏むだろう。

元々貸金庫業務はそれほど儲かる事業ではない。以前の投稿でも書いたように、株券や権利証などはデジタル化されて保管する重要性のある現物はどんどん少なくなっている。透明性が重要視される時代、やはり貸金庫(ブラックボックス)はいずれ消えゆく運命であるように感じる

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