金先物3000ドル突破で高値更新!ー投資資産からリアルマネーとしての復権へ

13日のニューヨーク市場で、金の先物価格が史上初めて1トロイ・オンスあたり3000ドルを超えた。昨年来の金価格上昇は今年になっても止まらず、一時期、2960ドル近くまでに達したが、かなりの急ピッチであったことや、米株下落による換金の影響もあったためか、その後は2900ドル近辺をウロウロする展開だった。

しかし、2900ドルを割ってからも2800ドルに近づくと下げ渋っていたし、何となく3000ドルを狙ってしばらく小休止という感じかなと思っていた。ところが、この2〜3日で一気に3000ドルを突破する急上昇を見せた。やはり金への資金シフトは本物だと感じる。

この背景にはこれまでのゴールドに関する投稿でお話ししたように、トランプ関税の影響や、地政学的リスクの高まり、など色々な影響が考えられるが、個人的な見解を言うと、最も大きいのは、金が投資対象というより、世界共通通貨として再認識されるようになりつつあることが大きのではないかと感じる。

これまで、金利が上昇すれば利子や配当を生まない金が売られるのは市場のセオリーだった。しかし2022年以降、米国の長期金利が上昇する中でも金は上昇し、まだまだ先のことと思われていた3000ドルを突破した。金への投資が金利を基準としたものでなくなってきている。これこそ、投資対象という以上に、ドルに代わるリアルマネーとして選好されている証拠ではないだろうか。

1971年にニクソンショックによりドルが金と交換できない不換紙幣となり、金に拘束されない管理通貨制度になってから、ドルは世界の基軸通貨となり世界を支配してきた。しかし、アメリカの国力が衰退し、ドルの一極体制に疑問符がつくようなってきた中で、トランプ政権が現れて、自国第一主義でさらにドル離れを加速させる政策を推進している。

しかも米国の政府債務額は35兆ドルを超え、年間の利払費だけでも2兆ドルに迫る勢いだ。信用創造でドルが膨れ上がり、価値が希釈化する中、1971年に1トロイオンス35ドルであった金は3000ドルを突破した。しかし、金の流通量をドル紙幣の流通量で割った比率はそれでも0.08程度の水準に過ぎない。過去、平均数値が0.2程度、ピークで0.4程度だから、ドルが膨れ上がる中、供給量が限られる金は3000ドルを突破してもまだまだ過小評価されていると言えるだろう。

ドルの基軸通貨体制が簡単に終わるわけがないし、ドルに代わる通貨もない。ひとつだけあるとすれば、数千年に渡って貨幣として価値を保ってきた金しかない。こうした認識のもと、多極化する世界を見据え、中央銀行や機関投資家、目端がきく個人投資家は金の購入に走っている。そんなふうに感じる。投資資産から、リアルマネーとしての地位復権へ。金を保有していないことが本当にリスクとなる時代が来そうな気がする。

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