「円建て金価格最高値更新」の背景にあるもの

昨日米消費者物価指数(CPI)の発表があった。前年比予想3.1%のところ、結果は3.3%であったため、この結果を受けて米長期金利(10年国債)も4.6%を超える水準まで急上昇した。この結果を受けて、金のスポット価格は1オンス約2900ドル程度の水準から2860ドルくらいまで急落した。世界一安全とされる米国債の金利が上昇すれば、金利がつかない金の魅力は相対的に薄れるからだ。しかし、ここからが凄かった。

価格が下がった後、すぐに大量の買いが入ったようで結局2900ドルを超える水準まであっという間に戻してしまった。これが今のゴールドの強さだと思う。中央銀行、ヘッジファンド?買いの主体が何なのか良く分からないが、ちょっとでも価格が下がれば買いたいという人が圧倒的に多いのは間違いない。

この最近の金の高騰とどこまで関係があるのか分からないが、実は最近気になる動きがある。金現物取引の中心となっているのはロンドン(LBMA)だが、いまそのロンドンの金が米国のニューヨーク商品取引所(COMEX)へと大量に流れ込んでいるらしい。そのせいなのか、取引に伴う金地金の配送が数週間遅れるという事態も発生しているようだ。

こうした背景から、投資家から「実はロンドンで金の現物が不足しているのではないか」とい声も上がっているらしい。真偽のほどは定かではないが、もしこれが本当だとしたら、金はさらに暴騰することになるだろう。関税強化などトランプ政権が反グローバル化に舵を切ったことで、ドルの信任が揺らいでいることもゴールドの実需を高めることになる。

一方で、米長期金利の上昇でドル高・円安の流れとなり一時150円まで進んだドル円が154円まで巻き戻された。金価格が上がる一方で円安が進んだので今日円建ての金価格は15909円(※田中貴金属公表売り価格)と最高値を更新している。ひょっとしたら、これはまだ更なる金価格高騰の序章かもしれない。今後もゴールドの上昇と円安が同時に進むなら凄いことになるだろう。マーケットから当面、目が離せない。

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