「政府、備蓄米21万トン放出」について思うこと

米価格の高騰を受けて政府が備蓄米21万トンを放出することを決定した。昨年の米は豊作だったと言うが、スクラップ業者など米の流通とは無縁な業者が高値での転売を目的に買い占めているらしい。これが米価格が下がらない要因として、備蓄米21万トンの放出決定となった訳だ。

私も定期的にスーパーで米を買うが、確かに驚くほど上がっている。昨年、米不足が表面化するまでは10kgでも2500円ほど出せば購入できた。しかし、今や10kgの米袋さえなく、しかも半分の5kgで価格は3000円近くだから倍以上なっている計算だ。

米についてはこうした転売目的の購入という特殊要因があるので、それをそのまま物価上昇と結びつけることはできないが、気がつけばヒタヒタとインフレの波は着実に押し寄せている。今後、この動きはさらに強まって、例えばインバウンドよる地域的な二重価格なども、二重価格でなくなって、スタンダード価格になるかもしれないと思っている。

振り返ってみると、長らく続いたデフレの影響で我々が当たり前だと思っていた物やサービスの価格は、あまりに安すぎたのではないだろうか?日本以外の先進国で500円あればランチ代が足りる国なんて他にはないだろう。円安の影響もあるが、訪日外国人が日本は安いと驚くのも無理はない。

日本人は値上げにはとても敏感だから価格転嫁を中々行わない企業も多い。コストが上がればすぐ価格に反映させるビジネスライクなアメリカとは好対照だ。安くて何が悪いと思う人も多いだろう。しかし、それがデフレを長引かせて、企業の利益も上がらない、給料も上がらない、国全体として20年以上もGDPが横ばいという異常事態を作り出した原因のひとつにもなったのも確かだ。

昨年は大幅に賃上げを行う企業が増え、物価の上昇基調が鮮明になった。株価も史上最高値を更新した。これは日本にとって大きなターニングポイントと受け止めるべきだろう。日本の人口構成から、今後構造的な人手不足がさらに深刻化するのは間違いないし、かつてのような円高は期待できないから、インフレはさらに本格化するだろう。だとすれば現預金の価値は間違いなく下落する。リスクは嫌だからと言ってそのままにしておいたら偉い目にあうだろう。改めてインフレに強い株などの資産割合を増やすタイミングだと感じる。

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