お金を預ける時にあなたが最も重視するのは?
お金を預ける時、あなたが最も気にするのは何だろうか?安全性や利便性、色々あると思うがやはり一番重視するのは利率だろう。例えば銀行の定期預金。まだまだ金利は低いが、現在、1年定期ならメガバンクが概ね0.1%台であるのに対し、ネット系の銀行は1%の金利をつけている。判断基準は色々あると思うが、一般的にリスクが同じなら、より高い金利の方を選ぶだろう。もちろん金利だけが選択基準ではないが、自分の預けたお金がどれくらいのリターンを生むかを重視する人が多いのは間違いない。
株式投資におけるリターンを知るには何を見れば良い?
実は株式投資にもこの預金利率のようなリターンの指標がある。それがROEだ。ROE (Return On Equity)とは自己資本利益率と言われるもので、
の式で算出される。ざっくりと言えば、投資家から集めたお金(自己資本)を使って、どれくらい効率よく利益を出せるか、すなわち「稼ぐ力」を表している。式だけ説明すればこれだけだが、この記事ではもう少しこの意味について掘り下げてみたい。
会社の最終利益は誰のもの?
上式の当期純利益とは、1年間の事業活動で得られた利益から、すべての経費や税金を差し引いた会社の最終利益のことだ。ではこの最後に残った当期純利益は誰のものなのだろうか?会社のもの?いやいや、これは経費や税金を全て引いた後の利益だから、投資してくれた株主に還元されるべきものだ。但し、配当のように全てが株主に直接還元される訳ではない。
会社はこの最終利益を、配当というかたちで株主に還元するのか、自社株買いに回すのか、はたまた設備・研究投資に回すのか、それとも会社の内部にプールしておくのか、その使い道を取締役会や株主総会での承認を得て決定している。
最終利益は株主にすべて配当で還元すべき?
例えば、自己資本が総額100億円で、当期純利益が10億円だったとしよう。そうするとROEは10%ということになる。この当期純利益のうち、3億円を配当に回せば配当性向( 配当金支払総額 ÷ 当期純利益 × 100 )は30%。仮にこの会社の発行済株式総数が100万株で、そのうちあなたがこの会社の株式を100株持っていれば3万円(税前)の配当を受け取れる(3億円÷100万株×100株)。
おいおい、ちょっと待て、ROE10%で10億円の利益が出ているなら、全部配当で株主還元しろよ!と思うかもしれない。でもちょっと考えて欲しい。残りの7億円で自社株買いを実施すれば株価は上昇してキャピタルゲインもしくは含み益を得られるだろうし、設備・研究投資に回せば中長期的に会社の利益を大きく押し上げる(=株価が上がる)かもしれない。いずれにしろ株主の利益となる。
その意味で全てを配当で直接受け取れなくても、当期純利益は投資してくれた投資家に帰属する利益であり、会社が自分が投資をした資本に対してどれくらいのリターンを上げてくれているかを見るとても重要な指標となっているのだ。
ROEを投資判断として活用しよう!
あなたが定期預金を預ける時に色々な銀行の利率を比較するように、どの会社に投資すべきかを判断する基準として、この「稼ぐ力」であるROEは大いに役に立つはずだ。但し、定期預金と違ってROEは企業の業績によって大きく変動するし、一時的な要因で大きく膨らんだり、逆に減少したりすることもあるから注意が必要だ。少なくとも過去複数年の実績を見て判断する必要があるだろう。
それでも将来のことは誰にも分からない。その不確実性こそが株式投資の難しさでもあり、楽しさでもある。これから株式投資をしようとしている人、またROEは聞いたことはあったけどまったく気にしていなかったと言う人はぜひ一度自身でも調べて投資判断に活用して欲しい。