「円真理教」!?エジプトで気づいた円信仰の危うさ

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エジプトで目から鱗の体験

今から20年ほど前、エジプトに旅行したことがある。ギザのピラミッドはもちろん、アブシンベル神殿や王家の谷などを巡り、数千年前に建設をされたとはとても思えない壮大かつ精巧な歴史的遺産の数々に圧倒されたのを今でも鮮明に覚えている。出来れば死ぬ前にもう一度エジプトを訪れたい。

実は痛烈に記憶に残ったことがもう一つある。観光地を巡る中、色々食事をしたり、お土産を買ったりしていると、場所にもよるのだが、エジプトポンドより米ドルを要求されることが結構あったのだ(エジプトでは自国通貨に加えて、米ドルが流通している)。例えば滞在ホテルでチップを払おうと、財布を開けて私がエジプトポンドを払おうとすると、米ドルも持っているのを見て、「US dollars, please.」という感じでドルを要求されることが度々あった。

その時に私が強く感じたのは、「エジプトには自国通過より米ドルの方を信頼している人もいるんだ」ということだ(当時はまだムバラク政権が続いていて、アラブの春が起こる前。色々問題もあったようだが、政権としては比較的安定していたと思う)。日本人の私にとってこれはまさに目から鱗が落ちる体験だった。

「円真理教」日本人の円信仰の厚さ

翻って、日本の円に対する信仰はとても厚い。故経済評論家の言葉を借りれば「円真理教」のようだ。銀行員時代、資産分散の必要性を多くのお客さんに話したが、ペイオフで銀行を分散しておけば十分と考える人が殆どだった。当然、1万円に1万円の価値があることを疑うものはいない。でも当時エジプトで私は思った。資本主義って宗教のようなもので、皆がみんな1万円にその価値があると信じているから成立している。もし、皆がこれは紙切れになると疑い出したら、本当に紙切れになってしまう可能性もある。

ハイパーインフレはその良い実例で、ベネズエラやジンバブエなど比較的最近起きたのを覚えている人も多いと思う。遡ればドイツでも第一次世界大戦後ハイパーインフレになったことがあった。そんなことは日本では起きない?そうだろうか、円の信用を担保しているのは経済力や軍事力、技術力だろう。これらに疑問符がつくようになればハイパーインフレまで行かなくても円の価値は毀損していくに違いない。一番可能性を否定できないのは台湾有事だろう。もしこれが本当に起きて、日本が大きく巻き込まれるような事態になった場合、円に対する信仰は崩れるかもしれない。

エジプト旅行で手に入れたFIREの礎

エジプトに旅行していた時には私はFIRE目指して既に投資を始めていたが、この旅行を通じて円預金以外の資産を持つ必要性を痛感した。帰国してすぐに米ドルや米国株、REITなど投資対象を拡大するようにした。各国の信用に左右されないゴールドに興味を持ったのもこの時からだ。こうした投資が後々FIREに大きく貢献することになった。

元々あまのじゃくの私は、いつも皆が当たり前と思っていることを疑うようにしている。当然と思っている度合いが強いほどひっくり返った時にその影響は大きい。日本の将来がどうなるか誰にも分からないし、明るい未来を期待しているが、もし、「円真理教」が崩れ出しても耐えれるようなポートフォリオをつくっておくことが大切だと思っている。

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