野村総研が定期的に行なっている純金融資産総額の調査(日本世帯対象・2023年)が発表された。資産を1億円以上保有する「富裕層」が153万世帯、5億円以上保有する「超富裕層」が12万世帯で、合わせて165万世帯となり、調査開始以降最多を記録したらしい(詳細は以下のリンクをご参照)。
記事にあるこの富裕層ピラミッドはFIREや投資などに関心がある人なら誰しも一度は目にしたことがあるだろう。野村総研では最多記録の背景に株式相場の上昇があるとした上で、運用資産が急増してここ数年で富裕層になった層を「いつの間にか富裕層」と呼んでいる。こうした人たちもきちんと準備をしていたからこそ富裕層になれたのであり、何かセンスのないネーミングだなあと感じる。
さて、日本の世帯数は約5600万世帯(2023年)らしいから、計算すると日本の約3%が1億円以上の資産を持つ富裕層ということになる。100人いれば3人が富裕層だから、意外に多いなと思う人もいるかもしれないが、私が銀行時代にも預金残高1億円以上の人は結構いたし、感覚としても大体合う。私は個人的にFIREを達成した人、目指す人の相互交流の会を作っているが、20数名のメンバーのうち5人ほどが富裕層だ。1億円以上の資産のを持つ人は実はそれほど珍しくない。
でも、こんな富裕層ピラミッドの区分に踊らされない方が良い。時々、ネットなどで「富裕層になりました!」と自慢げに語る人がいるが、資産額なんて上を見ればキリがないし、こんな区分に意味なんかない。銀行にいて数百億円の資産家なども見てきたし、「だから何?」と言いたくなる。あまのじゃくな私は野村グループが顧客を差別化し、富裕層ビジネスを推進するためにこんなグラフを作っているのではないかと勘繰りたくなる。
このようなデータはあくまでFIREを目指す上で参考程度にしておくべきだろう。大切なのは自分がFIREするのに必要十分な資産を築くことで、資産額そのものを自慢することではない。時折、資産額そのものが自身のアイデンティであるかのように語る人を見かけるが、逆に自身の品格を貶めるだけである。あなたが富裕層、超富裕層になってFIREしたとしても、資産額なんかより、あなたがFIREを達成するために、何をしてきたか、そちらの方を語るべきだと思うし、私ならそちらの方を聞きたい。