来年1月から三井住友銀が社内 FA 制度導入ー人的資本の重要性

三井住友銀行が社内フリーエージェント(FA)制度を来年1月から導入するようだ。制度の概要は以下の通り。

まず、異動を希望する社員が、保有する資格や技能、自己PRといった情報を登録し、全部署の責任者がそのデータを閲覧できるようにする。その上で、各部署がFAに登録された人材の中から、必要な人材を見つけ出してアプローチし、両者の間で合意すれば異動が可能になるというもの。銀行業界は保守的な業界だから人事部を介さずに異動が可能になるということにちょっと驚いた。

実は私も銀行時代人事部に少しいたことがあるのだが、適材適所の人材配置はやはり難しい。本人の希望や能力と現場のニーズががっちりと噛み合えば良いが、実際に上手くいくかどうかは配置してみないと分からないところが多分にある。ミスマッチとなれば、その異動先の部署や本人にとってもマイナスだ。

このFA制度についての詳細はまだ不明な点も多いが、
・責任者が現場視点で、その部署に必要なスキルや知識を持つ人材を探し出し、面談も行なった上で異動をオファーする
・オファーを受けた人材もそれを受けるか、断るか、選択権がある
というしくみから考えれば、こうしたミスマッチを減らす役割を期待できる。

また、資格やスキルを持つ人材は、より多くのオファーを受けて自身が希望する部門に行ったり、給与面でも厚遇を受けるチャンスが高くなるだろうから、行員の間でも知識やスキルを磨こうというインセンティブが働くようになるはずだ。組織の活性化、生産性の向上という点でもメリットが多いように思う。

銀行ももう十数年前から異業種がどんどん参入して競争が激化している。これまで以上に有能な人材を積極的に登用していかなければ生き残れない時代になっている。FA制度の導入の背景にはそんな危機感もあるのだろう。そして、これは決して銀行に限ったことではない。

年功序列で昇格し、退職金をもらってあとは年金で悠々自適という時代はとっくに終わった。これからの時代、さらに一人ひとりの知識やスキルが問われる時代になるだろう。「あなたは何ができますか?」と聞かれた時に、返答に困るようだと生き残るのが難しくなる。スキルや知識を磨いて人的資本を大きくすることが何より大切だ。

FIREを目指すからそんなの関係ない?そんなことはない。確かに投資で金融資本を増やすことは必須だけど、それと同じくらい人的資本を高めることは大切だ。特に若いうちに人的資本の質と量を高めるほどFIRE達成が容易になる。振り返れば私自身も若い時に取得をしたFP技能士の資格などが、仕事でも投資でも大いに役立った。あなたがFIREを目指すなら、是非そのことを忘れずにいて欲しい。

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