配当所得は申告すべきか?ーFIREに逆風となる政策が目白押し

先日、確定申告を終えたのは、以前の投稿「令和6年度確定申告を終えてーFIREを目指すなら税や社会保険料の知識も必須」でお話しした通りだが、毎年確定申告を行う際にいつも迷うことがある。 それは、配当控除を受けるために配当所得を申告するべきかどうかと言うことである。

配当所得は、①申告なし、②申告あり:申告分離課税(配当控除なし)、③申告あり:総合課税(配当控除あり)から選択できるようになっている。私が悩むのはこの①と③のどちらにすべきかということだ。なぜ悩むのかというと①と③で、国民健康保険料が大きく変わるケースがあるからだ。

国民健康保険料の算定基準となるのは確定申告の第1表や3表に記載される所得となる。配当所得は総合課税で申告すれば、配当控除(税額控除)で所得・住民税の還付が受けられるが、一方で配当所得が国民健康保険料の算定基準に反映され、税額還付以上に保険料が跳ね上がることがある。だからいつも悩むのだ。

今年も確定申告を提出する前に、①の申告しない(申告不要)パターンと③の配当所得を総合課税で申告するパターンの両方を事前に作成した。昨年度は特定口座を除けば、株式(一般口座分)も殆ど売買していないので、譲渡所得が40万円ほど、一方で配当所得は90万円ほどで、合わせても130万円ほどの所得しかない。結果、③の試算では13万円ほど所得税が還付される計算となった。

しかし、国民健康保険料がいくらになるかは、保険料率や負担軽減割合の変更などによって変わるので聞いてみないと分からない。だから毎年、確定申告前に市役所の保健課に行って直接確認するようにしている。

今回も事前確認に行ったが、今回の私の場合、配当申告なしの場合の保険料は年間67千円ほどで済むが、配当申告ありにすると何と32万円にまで跳ね上がることが分かった。その差約25万円が負担増となるから、これでは13万円の税額還付を受ける意味がなくなる。一般的なサラリーマンよりずっと少ない130万円程度の所得しかないのに、国民保険料はこんなに高いのだ(もちろん、これにはサラリーマンと違って労使折半じゃないことなど色々理由はある)。

配当控除は本来、配当所得が本来、法人税を払った後、個人でも課税されて二重課税となるのを防ぐための制度だから、社会保険料との兼ね合いで還付を受けない方が得になると言うのは、いつも腑に落ちずモヤモヤ感が残る。まあ、文句を言っても仕方がないので、配当控除による税額還付を諦めて今年も配当所得なしで申告した。

以上が今回の確定申告の顛末だけど、いまこの国民健康保険の算定基準で不安を感じていることがある。それは、現在、特定口座で源泉分離徴収されている株式の譲渡所得や配当所得、投信の分配金などの所得も国民健康保険料の算定基準に加えようとする動きが政府内にあるらしいことだ。

厚生労働省は昨年10月に国民健康保険料の上限額を来年度から92万円にする方針を固めた。高齢化の進展に加え未納者も多い国民健康保険料の財政は火の車だからだ。もし、現在、特定口座で完結している株式や投信の所得が国民健康保険料にも反映されるようになれば、私もおそらく上限まで負担しなければなくなる。これは本当に避けたい事態だ。

しかしもっと恐ろしいのが、過去何度かニュースになっている金融所得課税を現状の約2割から3割に引き上げようとする案だろう。岸田政権の時も一時浮上した後、批判を喰らって引っ込められたが、財務省が与党と結託して虎視眈々と導入を狙っていることは間違いない。本当にあの手この手で、負担を増やそうとするから油断ならない。

失われた20年を取り返すには、投資で個人も企業も活力を取り戻すことが何より必要だと私は信じている。だから、こうした貯蓄から投資に逆行するような政策は本当にやめてほしい。NISAやiDeCoでせっかく盛り上がった投資機運を下げることにもなりかねないし、私のようにFIREした人や、FIREを目指す人にとっては大きな逆風となる。夏の参院選では各党や議員の投資税制に対する考えや政策、過去の発言などを吟味して1票を投じたいと思う。

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